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Bestshot10


第38回水天多色(海水編)

 海水は淡水以上に色の変化は激しいかもしれない。とくに潮流、うねり・波・凪、そしてプランクトンなどの微細な生き物の影響がより複雑な色合いを見せる。森鴎外は「山椒大夫」のなかで、同じ直江の浦の海の様子を、日が上がる前は「紺青のような海」と表現し、夜明けを迎えた後は「凪ないだ海の、青い氈(かも)を敷いたような面」と描写している。同じ青系の色合いだが、微妙な違いを書き分けている。芥川龍之介は「少年」で「渚なぎさに近い海は少しも青い色を帯びていない。正にぬかるみのたまり水と選ぶ所のない泥色をしている。いや、ぬかるみのたまり水よりも一層鮮あざやかな代赭色をしている」と黄又は赤系の褐色だというのだ。また、若山牧水は「樹木とその葉 海辺の八月」では「西日を受けた入江の海の小波が白々と輝き出した」と活写する。それほど海の色合いは多様で多面的なのだ。そんな色合いを撮ってみた。                                *引用は「青空文庫」による

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