top of page



Bestshot10第47回


都道府県別⑥秋田県       


 

明治初期の1878(明治11)年、イギリスの女性旅行家イザベラ・バードは秋田県を訪れ、ほぼ全県を縦断した。その記録『日本奥地紀行』には、外国人女性の新鮮な目線を通した当時の様子が克明に綴られている。なかでも興味深いのは、旅の途中で幾度かトラブルに見舞われながらも、秋田を終始好意的に捉えている点だ。特に久保田(現・秋田市)については、「実に魅力的にして純日本的な町」「活動的な街であり、商業や工業も活況を呈している」と評し、うわべだけの活気ではなく、繁栄し満ち足りた様子であると観察している。
近世の秋田は、林業や鉱業などの豊かな天然資源に恵まれ、日本海側の海上交通の要衝である「北前船」の寄港地としても極めて重要な位置にあった。そうした歴史的背景を思えば、バードが抱いた当時の鮮烈な印象もごく自然なことだったと言えるだろう。
しかし、いま、秋田県は全国でももっとも人口減少が激しく、高齢化率も高い地域の一つとなっている。山間地や中山間地を中心に過疎化は著しく、豊かな観光資源が持つポテンシャルはありながらも、それらを磨き、維持していくことすら厳しいのが現実だ。
限られた社会・経済環境の中で広い県域全体を守り抜くことは容易ではなく、今後は選択的かつ集中的な課題解決が求められる。インバウンドを含め、旅行者のニーズがますます多様化・個人化する現代。いかにそれに呼応し得る観光資源を見出し、独自の磨きをかけていけるか――。まさに、いま秋田の「マーケティング力」が鋭く問われている。
今回はそんな秋田の素の姿を映像としてピックアップしてみた。

                       *引用文献:イザベラ・バード「完訳日本奥地紀行2」東洋文庫 2012年 平凡社

 

bottom of page